母の遺骨を食べたいなんていう気持ちは一生理解したくない。

ホラーっぽいタイトルが気になった。

「遺骨を食べたい」ってすごいタイトルだなと思った。なんというか猟奇的というかホラーっぽい。そういう異常心理を描いた話なのかと一瞬思ったけど、全然違う内容だった。まぁ、そういう世界に興味はないので、ちゃんと内容を知った上で買ったんだけどね。

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (バンチコミックス)

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (バンチコミックス)

自分の母親だけは絶対に死なないものだとそのときが来るまで根拠もなく思い込んでいたんだけど…(母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。)

母親に限らず、自分を取り囲む人たちがいつか死ぬなんてのは、ちっともリアリティを感じられない。実際に死に立ち会った経験もあるけど、それでも全然実感がわかなかったんだから、まぁ、今元気に生きてる人たちがいつかいなくなるなんて想像できるはずがない。だから「自分の母親だけは絶対に死なないものだと」思い込んでいたという気持ちはよくわかる。

ふと思い返した母の思いやり。

今ならわかります 深夜にしつこく携帯が鳴ることも 遅くまで家に電気がついているということも それがどれだけありがたいことだったのかが 今ならわかります(母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。)

これを読んだとき、15年ぐらい前のまだ実家から通勤していた頃のことを思い出した。そのころ、日が変わってから帰宅することが珍しくなかったけど、どれだけ遅くなっても家に帰ったら電気がついてた。そっとドアを開けると、リビングの床で毛布1枚かけて爆睡してる母がいた。

「こんなところで寝てたらカゼひくで」と起こそうとするんだけど、なかなか起きない。やっと起きたかと思ったら、眠そうにふらふらしながら、ラップしてあった料理を電子レンジへと運ぶ。ボクがメシを食いはじめると、母は椅子に座ったまま居眠りをはじめる。

もうちゃんと寝室で寝ててくれていいよ、と何度も言ったけれど、ボクが実家にいる間、母はこんな生活を繰り返していた。そして、5時ごろには起きて犬の散歩に行き、そのあとみんなの朝食の準備をしてくれて、みんなを送り出してから、自分も仕事へ向かう。ボクがこんな生活を強いられたら、あっという間にギブアップしそうだ。

改めて思い返してみると、感謝の気持ちしか浮かんでこない。だけど、あのころは世話しすぎな母を疎ましく感じることさえあった。あからさまに文句を言うようなことはなかったと思うけれど、なんだか自分の気分次第で不機嫌に接してたことはあったかもしれない。

ずっと実感せずにいたい言葉。

じっくりと語られる母親との微笑ましいエピソードと消えゆく命の物語を感情移入しながら読み進めていくと、耐え切れなくなって少し涙がこぼれた。亡くなった後も母を失った寂しさとこれからの覚悟を伝えるじわじわと心をゆさぶる言葉が綴られる。

親の死には子供の人生を動かす大きな力がある。悲しい悲しいと泣いていても気がつけば新しいことが動き始めたりするものなんだ。(母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。)

いつかこの言葉を実感するときがくるのかな。そんな瞬間はきてほしくないとどんなに願ってもムリだよなぁ。今は正直言ってちょっとこわいと思ってしまう「遺骨を食べたい」という気持ちも理解できる瞬間が訪れるんだろうか。

とにかく、急に両親とメシ食いに行きたくなってきた。ちょっと美味い店を探してみようっと。

コミックレンタルで節約も断捨離もできたけど、大事なものを失った気がする。

いいことづくめのコミックレンタル。

久々にコミックレンタルへ行き、気になるマンガをいそいそと借りてきた。奥さんの分が3冊、自分の分が7冊。近所の書店の2階にあるレンタルショップの1週間レンタル料金は10冊で432円だ。

1冊がだいたい600円ぐらいとすると、10冊買えば6,000円かかるわけだけど、レンタルすれば5,000円以上の節約になる。おかげでマンガを買うことがほとんどなくなってしまった。お金の問題だけじゃなく、買えば保管場所も必要になる。

節約できて、断捨離もできてまさにいいことづくめのコミックレンタル。だがしかし!最近はいいことばかりというわけでもないな、と思いはじめた。ということで、ちょっと思うところを書いてみることにする。

いいことばかりでもないコミックレンタル。

読み返せないので、頭に残らない。

1週間に10冊ぐらいのマンガはさっと読める。実際は奥さんが何冊か借りることも多いから、自分の分は5〜7冊ぐらいになることが多いし。ただ、仕事で疲れてると読む気にならない日もあって、実情としては、返却日の前日に急いで読むことも珍しくない。

マンガを買って所持してたときは、最新巻を読み始めてストーリーを忘れてたらちょっと前巻を読み返したりしてた。そうでなくても、ボクは絵を眺めるのもスキだから、パラパラとめくって絵を眺めたりもしてた。

レンタルするようになってからは、返却日までにさっと1回読んでおしまいというのが、マンガとの付き合い方になった。はっきりいって、あまり頭に残らなくなって次の巻が出るころには、内容を忘れてる。

意外な発見が少なくなった。

表紙の絵がやたら気に入って、そのままレジへ直行。どんだけ表紙だけ気合入れて書いたんだ?っていうぐらい中の絵がいまひとつでヘコんだりしたのも懐かしい。衝動買いしたマンガが意外に面白くて一気に買い揃えたりとか、そういう意外な発見はほとんどなくなったなぁ。

Amazonでレビューをしっかりチェックして、コミックレンタルに向かう。そこそこ評価が高くて、レンタルショップに置いてあるそこそこメジャーなマンガをかき集める。それが最近の傾向だ。

ブログでレビューする余裕がない。

単純に1週間で読みきって、ブログに書くっていう時間のゆとりがないっていうのもあるけれど、何度も何度も読み返すぐらい、そのマンガに思い入れがないと、ブログにレビューなんか書けない。

そのマンガが面白くないのか、自分が焦ってマンガを読むことを作業にしてしまってるのかは、ちょっと判断がつかない状況なんだよなぁ。

これは!と思うマンガは買ったほうがいいな。

やっぱりブログで考察するエントリーを書きたくなるようなマンガは、思い切って買って何回も読み返したほうがいいな。どうしても期限つきの状態で急いで読んで、何か考えをまとめようとしても、うまくまとまらないもんな。

淡白にマンガを消費してしまってるような気がするものの、コミックレンタルのコストメリットがあまりに大きいので、なかなか悩ましい。そういえば、ネットカフェに行ってみるのもいいのかもしれない。今度ひさしぶりに行ってみるか!

↓サイキンお気に入りのマンガたち。

アイアムアヒーロー(15) (ビッグコミックス)

アイアムアヒーロー(15) (ビッグコミックス)

とある魔術の禁書目録(14) (ガンガンコミックス)

とある魔術の禁書目録(14) (ガンガンコミックス)

このマンガがすごい!2015で面白いマンガを見つける。

ちょっと疲れてるときはマンガを読む。

ちょっと疲れてるときは、無理に読書をしようとしてもただ文字を追ってるだけの状態に陥ってしまいがち。そんなときボクはマンガを手にとる。そんな状況になってから「さぁ何を読もうか」とネット検索しはじめたらそれだけで時間がすぎたり、めんどくさくなって別に見たいわけでもないテレビを見てだらだらすごしたりしてしまいかねない。いや、疲れてるなら寝れば?と言われれば返すコトバに詰まってしまうけれど。

そんなわけでボクは、常に今読みたいマンガのリストを作っている。といってもそんなに大げさなモノじゃなくて、ずらっとマンガのタイトルと次に読む巻数を書いてあるだけだ。

MIX 6
宇宙兄弟 25
3月のライオン 10
アイアムアヒーロー 16
コッペリオン 21

こんな感じに書き出しておくと、ちょっとマンガ読みたいなーと思ったときにさっとレンタルしてきたり、Kindleで買ったりできて便利。ただ、最近はあまりに同時並行で読んでる数が増えてきているせいか、読んだはずの前巻の話をすっかり忘れてたりする。これは「老い」のせいか?(汗)

どうやってマンガを探してますか?

ネット検索に頼ることも多いけど、やっぱり個人ブログでのオススメとかだと「その人と趣味が合うかどうか?」に相当左右されてしまうし、Amazonのレビューは逆に賛否両論ありすぎて選びにくい。

ということで、ボクは毎年この「このマンガがすごい!」が発売されるのを楽しみにしている。

このマンガがすごい! 2015

このマンガがすごい! 2015

ランキングの順位はあまり気にしないけど、とにかく掲載されてる作品数が多いから、パラパラとめくってるだけでも「ちょっとおもしろそうだな」っていうマンガが見つかったりする。ボクは内容だけじゃなく、結構絵柄にもこだわるほうなので、絵をたくさん載せてくれてるのもありがたい。

今回さっと見てみたけれど、自分が読んだことがあるマンガはほとんどなかった。オトコ編1位に選ばれた「聲の形」ぐらいしか読んでないかも。これは収穫が多くなりそうで楽しみだ!

このマンガがすごい!で気になったマンガたち。

健康で文化的な最低限度の生活(1) ビッグコミックス

健康で文化的な最低限度の生活(1) ビッグコミックス

強いて言うなら「途方もなく是非の難しい」テーマだからこそ、徹底的にその“困難”や“矛盾”ごとゴリっと描いていこうというマンガである。(このマンガがすごい!2015)

これは気になる。生活保護をテーマにしたマンガなんて今まで読んだことないし、綺麗事ではすまされない世界が描かれてそう。すぐにでも読んでみたい。たぶん、読み終えたらブログに何か書きたくなるだろうな。

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)

お茶目で愛すべきキャラクターの母親と献身的に看病に尽くす息子の仲睦まじさが、いやでも涙腺を緩ませる。(このマンガがすごい!2015)

まだ自分は母を亡くすことはないだろうと思うけど、人生何が起こるかわからないもんなぁ。「遺骨を食べたい」って衝撃的なタイトルだけど、やはりちょっと読んでみたい。

魔法使いの嫁 1 (コミックブレイド)

魔法使いの嫁 1 (コミックブレイド)

15歳の少女・チセと人外のエリアスの心が少しずつ通いあうさまが、丹念に描かれる。(このマンガがすごい!2015)

なんかリアルな人間ドラマ風味なマンガばかり選んでしまいそうになったので、ちょっとファンタジー色の強そうなモノも選んでおく。なんか全然どういうストーリー展開なのか想像がつかないけど、だからこそおもしろそう。

だれもが心の奥に隠し持つどす黒い感情をえぐり出す(このマンガがすごい!2015)

最後にオンナ編からもひとつ。このかわいらしい絵柄とタイトルで「どす黒い感情をえぐり出す」ってどういうことなんだ?と気になってしまった。

さぁ、この中に生涯忘れられなくなるようなマンガはあるだろうか。なんにせよ、しばらくは面白いマンガ探しを楽しめそうだ。

ばらかもんが教えてくれた、心で理解することの大切さ。

待っててくれる人がいるのはうれしい。

Huluでのんびりと見続けていたアニメ「ばらかもん」をようやく見終わってしまった。正直言って見終わってしまったのが寂しい。前にも書いたけど、最後まで出てくる人が「いいひと」たちばかりで癒されるアニメだったなぁ。


「ばらかもん」が見放題

 待っててくれる人がいるというのはなんてうれしいことだろう。

島の皆が電話口で半田先生とかわるがわる会話して、なるが「いっしょにやりたいこと、まだまだいっぱいあっけん、はよう帰ってきてね」といい皆が「まっちょっけんねー!」と伝えるシーンでは感動してちょっと泣きそうになった。

 

1人で見てたら泣いてたかもしれない。そういえば、結婚してから何かを見て泣くことがなくなったなぁ。アニメ見てボロ泣きしてるの奥さんに見られちゃはずかしすぎるじゃないすか。さんざん「ばらかもん」に素直に自分の思いを伝えることの大切さを教わってきたけど、いまだボクは素直にはなりきれないらしい。

 

ボクは結婚して1人で泣ける時間を失った代わりに誰かが待っていてくれる喜びを手に入れた。天秤にかけるようなモノではないけれど、どちらが自分にとって大事かといえば、悩むことなく明かりが灯ってる家に帰れることを選んでしまうなぁ。と、なんか話がやたらばらかもんから離れてしまいそうなので元に戻そう。

 実体験に勝るモノはない。

この「ばらかもん」を見て一番思うことは、やっぱり実体験に勝るモノはないんだなということ。 このアニメでは乱暴に言うと、ツンデレな半田先生が素直に「ごめんなさい」が言えるようになるか?というのがテーマになっている。でも、どれだけ本を読んで「素直さが大事」と頭で理解したところで、半田先生は変われなかっただろう。あれだけまっすぐな島の人たちに囲まれて暮らしたからこそ、心で理解することができたんだと思う。

 

本なんか読んだって意味ないとか炎上狙いのようなことを言いたいわけじゃなく、本だとかブログの記事を読んで解った気になって小手先のことをちょっとやってみてなんか違う、みたいなことを繰り返すボクのような不器用な人は、たぶん心で理解することが足りてないんだろうなと思うのだ。 

 

東京に暮らしていては変われなかったであろう不器用な半田先生にボクは自分を投影して見てたから、ばらかもんは他のアニメ以上に楽しめたんだろう。うん。イケメンと書道のスキル以外は自分とかぶるもんな。いや、それを除外してしまったら半田先生のキャラクターが全然成立しないわけだが。

 

もう少しばらかもんの世界に浸りたいから、原作コミックを読んでみるか!

ばらかもん1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

ばらかもん1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

 

目玉焼きの黄身をいつつぶすかなんてどうでもいいことにひっかかる、こだわり脳はちょっと羨ましい。

たまたまKindleで安く売ってたから購入した「目玉焼きの黄身 いつつぶす?」がなかなか面白くてアタリだった。こんな誰もがどうでもいいとスルーしてしまいそうなことを捉えてマンガに書いてしまうセンスはすげえな。

目玉焼きの黄身 いつつぶす? 1 (ビームコミックス)

目玉焼きの黄身 いつつぶす? 1 (ビームコミックス)

 

食べ方には人それぞれの哲学がある。

目玉焼きの黄身をつぶし、白身とほうれんそうなどのつけ合わせと絡めて食べる人もいれば、黄身をつぶすと皿が汚れるからと最後に黄身を食べる人もいる。食に関しては結果としての美味さへと飛躍してしまいがちだけど、その食べ方に目を向けてみると知らなかった世界が見えてくる。

 

ちなみにボクは皿を汚したくなくて、黄身を最後に残そうとするけれど、失敗してつぶしてしまって、どうでもよくなるタイプだ。哲学なんてあったもんじゃない。

 

なんかごちゃごちゃ言ってるけど、これって人と食事するときのいいネタだなぁ。ボクはせいぜいスキなモノを先に食べるか、後にとっておくかぐらいしかネタにしたことはなかったけれど、このマンガを読んでるとネタに困らなそう。ただ、人の食べ方を否定したら、絶対ケンカになるからやめといたほうがいいな。

こんなこだわり脳を持ってたらブログのネタ尽きなさそう。

スルーしていても生活に支障ないことにいちいちひっかかってしまうこだわり脳を持ってたら、ブログのネタに困らないだろうな。人はそこかしこにささやかな哲学を持ちながら生きてるから、日常の行為すべてがネタに見えてくるかもしれない。

 

でも、いちいち人の行動が気になってしょうがなくなったら疲れそうだし、気付かずスルーしてしまうほうがシアワセかも。やることのひとつひとつに「ちょ、まてよ。なんでそうなんだ!」みたいなこと言われたら、ウザくてしょうがないし。

NHKアニメワールド 目玉焼きの黄身 いつつぶす?

 

 

 

これってアニメにもなってるのかー。 今度一回見てみよう。

日常に疲れたら「ばらかもん」で癒されよう。

最近、ばらかもんがお気に入り。

実は原作は読んだことないんだけど、何気なくアニメを見ていて見事にハマってしまった。というわけで、何がそんなにお気に入りなのか、語ってみることにする。

ばらかもん1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

ばらかもん1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

 

 みんな「いいひと」でほっとする。

これがばらかもんの1番の魅力かなぁ。こんなことを書くとなんだか心配されてしまいそうだけど、登場する人たちのユルさに触れていると、日常で強いられる焦燥感とか、人間関係の葛藤から開放されてホントにほっとする。

 

実際に自分がこの島にやってきて、毎日干渉されるとちょっとめんどくさいなと思ってしまうのかもしれないけれど、アニメとして見ているぶんには、ホントに癒やされるんだよなぁ。よくわからない方言も、いい味出してるし。

頑固で生真面目で考えすぎな先生に共感する。

半田清舟こと先生のキャラにいろいろと共感できてしまうのも、このアニメに惹かれる理由のひとつかな。とても頑固だったり、すぐに激しく落ち込んだり、かと思えば急に人のコトバを素直に受け入れて行動してみたり。

 

書道家としての信念はぶれないんだけど、何かを掴みたいともがいてるから、ちょっと抗いながらも人のコトバはちゃんと心に留めていて、思い直して行動するっていうのがお約束のパターンだけど、その流れがわざとらしくなくていいのだ。

なるが反則的にかわいい。

めっちゃ悩んでることがバカらしく思えてくるぐらい、無邪気な「なる」がいつも人生の楽しみ方を思い出させてくれる。そして、反則的にかわいい。こんなコドモがほしいと思ってしまうものの、実際にいたらちょっと大変かな。

 

生きてる時間を増やしていく中でいろいろなことを知って、ものごとが解ったような気になっているけれど、実は失っているものもたくさんあるんだろうな。

 

日常に疲れたアナタにばらかもん。

オススメです。

【奴隷区 僕と23人の奴隷】誰かを奴隷にしたいとか思ったことありますか?

ボクは奴隷になんかなりたくないし、誰かを奴隷にしたくもない。

 

いや、誰かを奴隷にしてみたくはあるかもしれない。ムカつくヤツを有無を言わせず従わせたり、美人な奴隷をはべらせてあんなことやこんなことや的な妄想ぐらいは誰でもするよな。でも、実際にそれを成し得たとしたら、きっとすぐに虚しくなるだろう。そして、罪悪感に襲われるだろう。

 

いきなり何を言い出すんだコイツは?と言われそうだけど、「奴隷区 僕と23人の奴隷」というマンガを読んでたら、ついついそんなことを考えてしまった。

奴隷区 僕と23人の奴隷(1) (アクションコミックス)

奴隷区 僕と23人の奴隷(1) (アクションコミックス)

 

 SCMってなんだ?

奴隷区はSCMというアイテムを中心に物語が展開する。その特徴は次のとおり。

・Slave Control Methodの略称である。

・他人を奴隷にできる器具である。

勝負はSCMをつけた者同士で行う。

・勝者が主人となり、敗者はその奴隷となる。

勝負方法はなんでも構わない。

・奴隷はどんな命令にも従うが、制限も存在する。

・奴隷は主人に対して嘘をつけない。 etc…

 

いやー、エグいアイテムだな。でも、自ら装着する人はともかくとして、わけもわからないまま装着してしまう人が多すぎ。見るからに怪しげなモノをそんな簡単に口に装着してしまうだろうか?口に入れるのは抵抗感がありすぎる気がする。

残念ながらストーリーは薄い。

SCMを自ら使おうとする人は動機が単純極まりないし、巻き込まれる人はほとんど何も考えていない。4巻を読み終えた時点で14人と1匹のSCM装着者が登場するけれど、一人一人にフォーカスしながら描いていく割には、なんか切なさとか感動とか全然足りないんだよなぁ。

 

勝負も息詰まる心理戦という感じじゃなく、ひたすら力押し中心。敗北感を感じたら負けという設定もあるから、もうダメかもしれないというところまで追い込まれてギリギリのところで形勢逆転!というような展開もあまり期待できない。

それでもソリッドシチュエーション・スリラー好きなら!

ちょっと苦言を呈してしまったけれど、それでもSCMの設定だけで十分楽しませてくれるので、デスノートGANTZなんかがスキな人なら読んでおいて損はないんじゃないだろうか。

 

とりあえず、どう収束するのかを楽しみに追ってみることにしようかな。

【文学少女】「人生に死にたがってる暇なんかない」と言えるシアワセをかみしめる。

 

以前、ボクはなぜか死にたがる人を引き寄せていた。今まで何人の人から「死にたい」という言葉を聞いただろう?最近はあまり考える機会がなかったけれど、“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)を読んでいると、ふとそんなことを思い出してしまった。

けどやっぱり死んだらダメなんだ
今はうまく説明できないけど きみが生きる理由を探す手伝いをするから!
だから死ぬのはもう少し待って!もう一度生きて!
一緒に考えるから 一緒に悩むから! それならぼくにもできるから!(“文学少女”と死にたがりの道化

なんだかこれに似たような言葉を発したことが、過去に何度かあるな……。さすがに心葉と千愛みたいな屋上の攻防は経験ないけど、夜通し説得めいたことを続けた日々もあったし、「バイバイ」と電話を切られて焦って新幹線に飛び乗ったこともある。もうずいぶん前のことだし、今となっては本当にあったことなのか疑わしくなるほど、現実感はないけれど。

 
そのとき、ボクにはわからなかった。そりゃ、人生なんかうまくいかないことのほうが多いくらいだけど、それでも、ボクにとっては、何がどうとは言えないくらいアタリマエに人生は捨てるには惜しいモノだったからだ。
 
だけど「アタリマエ」の力は弱すぎて、油断すると死にたがる人の絶望に飲み込まれてしまう。ボクは自分を保つために必死に楽しいことを探したりしていたっけなぁ。
 
それから何年か経って仕事でどうしようもないくらい躓いたボクは、死にたがる人の気持ちがわかるようになった。本当は誰も死にたがってなんかいなくて、自分が生きている意味がわからないまま、ただ時間を浪費するように過ごす日々が辛すぎるんだろうとボクは思うようになった。
 
天災や病によって、生きたいと強く願いながら、誰かに心から惜しまれつつ命尽きる人たちがいる。なぜ、こんな人が死ななければならず、ただ、息を吸って吐いているだけのような自分が生かされているんだろう?そんなふうに考えてしまうこともあった。かなりヤバい状況だ。
 
そんな真っ暗なトンネルをどうくぐり抜けて、どうやって今に辿り着いたのかは、正直なところ自分でもよく解ってないんだけれど、やっぱりトンネルには入口があれば出口もあるらしい。トンネルをとぼとぼ歩いてる最中は「きっと、この先は崩落したりしてるんだ!」とか何の根拠もなくネガティブなことを考えてしまいがちだけど(苦笑)
 
たぶん、人生に死にたがってる暇なんかない。自分が生きてる意味をちゃんと解ってる人なんて、少数派じゃないのかなぁ。「アタリマエ」に生きていて、そんなこと考えもしないという人がほとんどなんじゃないだろうか。まぁ、これは今だからそう思えるんだろうけど。
 
どうも話が“文学少女”の感想からはかなり遠のいてしまったから、話を少しだけ戻そう。
 
心葉は「一緒に悩むから死ぬのは待って!」と言い、遠子先輩は「人間失格しか読まずに死ぬな!」と言って死にたがる千愛を説得する。はっきり言って言葉にするとめちゃくちゃだけど、大事なのは内容じゃなく必死さだ。
 
千愛は「人とは違う異常性」に耐え難い孤独を感じてきたから、なんだかワケは解らなかったとしても、2人が必死に涙ながらに自分の手をつかんで生きろ!と言う、その行為が理屈じゃなく、千愛の心を動かしたんだろう。現実はもっと複雑かもしれないけれど、1人でも2人でも自分の存在を認めてくれる人がいれば、救われることもあると思う。
 
なんにせよ、劇場版アニメだけを見て“文学少女”を解った気になるのは間違いだとはっきりわかった。千愛がこんな深すぎるキャラだったなんて素直に驚いたし。そろそろ原作のラノベにも手をだしてみようなぁ。
 
こりゃ、今更ながら“文学少女”に完全にはまってしまったな。

【宇宙兄弟】どんな兄貴でありたいか?のスタートラインすら遠い。遠すぎる。

いつも以上に兄弟の絆を考えさせられた。

兄弟という言葉がタイトルに含まれてるぐらいだから、宇宙兄弟ではよく兄弟の絆が語られる。しかも、主人公は兄貴として、しょっちゅう弟のことを語り出す。ボクにも弟がいるから、我が身を振り返ることがよくあるんだけど、今回は特に深く考えさせられた。

 
 

小山 宙哉
講談社 2010-06-23
¥ 580
部屋から出ない理由をきいたって「僕にもわからない」としか答えない
俺は……なんとかしたいんだ
今まで何度もそのチャンスを逃してしまった……
たった1本の電話でどうにかなるとも思えねえけどな……
なんとかしたいんだ (宇宙兄弟 10)

ほとんど語られてこなかった新田の人物像がようやく見えてきた。ひたすらクールな人という印象しかなかったからなぁ。ひきこもりの弟をとにかくなんとかしたいという兄の姿が描かれている。これは兄のほうが成功しているというパターン。

 

弟からの電話を必死に待っている姿が印象的だった。必死に待つというのはなんだか変な日本語だけど、ひきこもり状態にある人が電話をかけるというのは大きな変化の筈だ。それで何ができるわけじゃないけど、どんな小さな変化も逃さず掴んで、なんとかしたいという気持ちが痛いほど解った。

 

心を閉ざしてる人は何かを期待して電話する。その電話に出ることができず、落胆させてしまうことがどれだけの損失なのか?が宇宙飛行士のミッションよりも携帯電話を探すことを優先する新田の姿にあまりにもリアルに描かれていた。この作者は実際に何かを体験されているのかもしれない。

優秀すぎる弟ってのも悩みどころだぞ 新田
いなきゃいいのにって思うこと数しれずだよ
お互い様だから言わせてもらうぞ 新田
俺は……お前みたいな兄貴になりたかったんだ
道に迷ってる弟を……そんな風に導いてやれるような兄貴に (宇宙兄弟 10)

六太のほうは優秀すぎる日々人という弟を持つが故に、頼れる兄貴でいられないという悩みを打ち明ける。これは弟のほうが成功しているパターン。ただ、この先の展開がどうなるかはまだわからないけど、六太は出遅れただけで成功してないわけじゃないけどな。

 

それに六太の理想像とは乖離してたとしても、日々人にとって六太は尊敬する兄貴で常に精神的な支えになっていることも、何度となく作中で描かれている。ただ、兄貴として弟の先を歩けてないというコンプレックスは大きいだろうなと想像がつく。

 

他人より遠い兄弟関係を改善しなくちゃ。

で、我が身を振り返る。
 
自分は新田と六太とどちらに共感できるだろうか?どっちとも言いづらいけれど、どちらかといえば新田のほうに共感しやすいのかなぁ。まぁ、別に弟はひきこもってるわけじゃなく、ちゃんと仕事してるし、既婚者で一児の父だけどね。
 
 
実はボクは弟とは長年マトモに会話できていない。この年末年始は会うことすらできてないし、お互いにメールをやりとりすることもなかった。まぁ、ほぼ断絶しているような状態だ。
 
なんでこんなふうになってしまったんだろうといつも考える。遠くに離れて暮らしてるわけじゃなく、車で15分ぐらいで行ける場所に暮らしている。何か致命的な喧嘩をしたわけでもない。だけど、メールを送っても弟から返信があったことはないし、電話をすることもない。直接会いに行くこともない。
 
弟に子供ができたのは一昨年のことだけど、一回だけ病院でガラス越しに見ただけで、まだ一度も会ったことがない。実家にはたまに来るみたいだけど、もう片言で話すし、立って歩くようになっているらしい。今年はなんとかして会いたいなぁ。
 
今ここであまり詳しくは書かないけれど、弟が色々と思い悩んでいることは母から聴いている。弟はそんなに自分のことを多く語らないから、母ですら想像を交えながらボクに伝えてくれるんだけど、はっきり解っていることは、奥さんがとても難しい人みたいだ。それが全てとは言わないとしても、弟がボクや両親と疎遠になってしまってることに少なからず影響しているらしい。
 
一回ぐらい弟とビールを飲んでみたいなぁ。よく考えたらそもそも、弟がビールを飲むのかどうかすら知らないことに気づいて愕然としてしまうわけだけれど。
 
どんな兄貴でありたいか?なんていうスタートラインすら、ボクには遠すぎる。他人より遠い兄弟関係をまず改善しなくちゃなぁ。話はそれからだ。

【亜人】死をまぬがれたら、周りのすべてが敵になる。

 長い休みがあるとマンガのインプットが増える。なんだかアニメとマンガのレビューブログみたいになってきてるけど、まぁ、何処へ向かってるのか自分でもわからないほうがおもしろい。何か違うモノを期待して読者登録して下さってる方がいたらごめんなさい。雑食だから、なかなか方向性が定まらないんだよなぁ。
ということで、今回は思いっきりボク好みでダークな表紙の亜人を3巻まで一気に読んでみた。
桜井 画門
講談社 2013-03-07
¥ 620
その生物は死なない……
その生物は亜人と呼ばれている
その生物は ー 一度死ぬまで自分が亜人だと気がつかない (亜人 2 )
うん。期待を裏切らないダークさにワクワクするじゃないか!ずっと人間として生きてきて、死ぬ苦しみを味わって自分が亜人だと気付かされる。死なずに済んだことを喜ぶ間もないまま、周りの人間がすべて敵になるという唐突すぎる容赦ない逆境に突き落とされる主人公永井圭。

 

いくらなんでも、そりゃ極端でしょ。昨日まで人間として暮らしてたのに亜人と知ったら、誰もがいきなり敵になるなんてさすがにないんじゃない?という気もするけれど「絶対死ぬハズだったのに、死ななかった」という事実を伴って亜人として目覚めることで畏怖の対象となることは避けられず、また、捕らえたら賞金が出るというウワサが更に味方を失う状況を生み出してしまっている。

 

普通の人間同士でも差別意識のない世界なんて作れない。そこへ明らかに人間ではない存在が放り込まれたとしたら、間違いなく強烈な差別意識が生まれるだろう。実際、中には圭の扱いに異議を唱えて、行動を起こそうとする者もいるが、世の中の流れにあっさりと屈してしまう。

 

ただ、日本ではたとえ人間ではない亜人が対象でも、あんなエグい人体実験は許されない気がする。ボクはよく知らないけれど、現実世界で実験に使われる小動物に対してでも、死ぬほどの苦しみを何度も感じさせるようなことはしないんじゃないだろうか?いや、してるのかな?してるとしたら、医学の発展のためとはいえ、人間って恐ろしいなぁ。

 

亜人が存在することにはどんな意味があるのか?IBM(黒い幽霊)とは一体なんなのか?永井圭のあまりにも不安定な人格はどのようにして育まれていったのか?ほぼすべてが謎だらけの状態で、これからどうストーリーが展開するのか、まったく予測不可能だ。

 

とにかく、またひとつ面白いマンガが見つかって楽しみが増えたのがうれしい!