超賢者タイムからの生命の神秘

ボクらは妊活で苦しんだ。そのときがきたらとにかく頑張るタイミング法では出口が見えないまま2年近くがすぎた。

ステージを自宅からクリニックへと移し、ボクらは人工授精へと進んだ。

クリニックで看護師について行くと、テレビとプレーヤー、洗面台が設置された2畳ぐらいの部屋に案内された。

単行本サイズの黒いケースと小さな透明のケースを渡され「ココに入れて受付に出してください」と言い残すと、看護師はそそくさと去った。

え?何の説明もなし?と思いながら黒いケースを開けると、中には5~6枚のDVDが入っていた。女教師、看護師、OLやJKなど制服モノ中心のラインナップ。これは丁寧に説明されても気まずいな。

でもこれはダメだ。ボクは制服にはまったく萌えない。ニセモノだからか、ホンモノならいいのかはしらんけど、とにかく萌えない。

それでも、さっさとやらねば。「いつまでやってんの?」と思われるのは避けたい。

だが、機能停止したかのようにボクのは穏やかで、何もしないまま賢者タイムを迎えていた。物理的手段を駆使して無理やり事を済ませ、大小2つのケースを提出した。

結果は質、量共に残念な状態ではじめての人工授精は呆気なく失敗した。

日を改めて2回戦。また光の速さで看護師が去ったものの、今回はもう1人客人がいた。外でガス業者がメンテしてるっぽい。

ヘッドホン越しにガタガタと何かを動かす音が聞こえる。あー!ただでさえダメな制服なのにー!

「ここ、おいときますねー!」「は~い」みたいなやりとりが聞こえて、超賢者タイムに突入。また物理的手(以下略)

「これだから男性の身体は不思議なんですよ!」いつもボソボソ喋る先生が驚くほど声を張った。

前回とは比較にならない良い結果だった。今回のほうが環境は最悪だったのになぜ?

しかし、これで不妊治療は終わりを迎えたから、まさに生命の神秘である。