早くハンコを押したい夏。

ボクは今とにかくハンコを押したくてしょうがない。

ほらほら緑の紙でも、とんずらされたら、取立てに追われるやつでもなんでも持ってこいやぁー。ポンポン押したるでしかし。・・・いや、緑の紙は押さないかな。最近は夫婦の時間なんか全然ないとはいえ、ボクは奥さんひとすじですし。冷静に考えてみると、取立てに追われるやつも押すわけにはいかないな。

なんで急にそんなにハンコを押したくなっているかというと、新しいハンコを作ったからである。それも、いつもとはひと味違うちょっとお高いやつである。手のひらにのせてみると少し重量感を感じる。見た目は口紅と間違えそうなスタイリッシュさ。相変わらずボキャブラリーが貧困でうまく形容できないのがもどかしいので写真を載せておく。

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とはいえ、なんでもかんでも押すわけにはいかないので、逸る気持ちを抑えつつ出社したボクは大人しく伝票が回ってくるのを待つことにした。箱から取り出して机の上にあたらしいハンコを立ててみる。この美しい佇まい、どうよ。なにそれって食いついてくれていいよ。

来ない。伝票が回ってこないじゃないか!なぜだ!いつもはイヤになるくらい回ってくる伝票がまったく回ってこない。ボクは焦らされて燃えるタイプじゃないぞ。けっきょく1度もハンコを押すことなく、昼休みに突入してしまった。

しかし、午後のひととき眠気に襲われ始めたころ、ついにそのときは訪れた。無造作に机上に置かれる伝票。いつもなら「またかよ」とチラ見するだけでギリギリまで放置するとこだが今日は違う。内容をチラ見することも無くボクは光の速さでハンコのキャップを外して四角い枠の中にはじめの一歩を刻み込んだ。くっきりはっきり残されたその姿に惚れ惚れする。もう自分の存在感と同じぐらいインクが薄まって押してるのか押してないのかわからないような状態になっていたところからの奇跡の復活である。あぁやばい。ちゃんと領収書チェックしとかないと。一応、ボクは経理マンのはしくれだもんな。

お気に入りの文具はこれぐらいテンションが上がるってことを久々に思い出した。たまにはケチらずに上質なものを買うのも悪くない。