自分が信じる正しさで、平気で人を振り回す人に心が削られていく。

なんとかしろと言われても。

「最近のA部長の暴走はひどすぎます。なんとかなりませんか」そんな感じのことを他部署の2~3人の人から言われた。A部長というのは、ボクの上司であり、頼りないながらも一応リーダー職にあるボクがそう要求されるのは、当然の展開だろうなと受け止めた。

しかし、受け止めるだけで何もできない自分に打ちひしがれる。彼らは「最近」と言ってるけど、ボクからみれば別に上司は前から何も変わっちゃいない。入社してからの在籍期間が長くなるにつれて上司が口出しする範囲が広がり、自部署以外の人たちが迷惑を被るようになってきただけだろう。

上司は自分が信じる正しさに反することを見つけると、即座に変えようとする。なぜ、今までそのように行われてきたのかの事情を確認することなく、当事者が事情を説明しようとしても、まったく聞く耳を持たずに強引に変えてしまう。「普通はこうである」とやたら興奮気味にまくし立てて、人の口をふさいでしまうのだ。

今まで自部署の仕事の範囲で収まることは、いきなりやり方を変えることによって生じる問題をボクが1人思い悩んで残業してでも解決して、多少他部署に影響が及べば、上司にバレないように対象者に謝罪して回ればなんとかなったけれど、最近は上司が他部署の仕事に口出しするようになってきて、フォローしきれなくなってきている。

おかしいのはあんただよ。

急に上司に呼ばれてなんだろう?と思いながら傍らに立つと、唐突に上司は「なんでこんなマスタを登録してる?」とボクに問いかけてきた。会社で使用してるシステムのマスタのことで、他部署が管轄するマスタだったから、ボクには事情が分からず、担当部署に確認すると伝えた。

「こんなマスタは必要ない。今すぐ消せ」と上司はなぜか興奮気味に言い放った。いや、どう使われてるか知らんけど、いきなり消したら何か問題が起こりそうなことぐらいはボクでも分かる。だいたい他部署が管理してるものをなんで勝手に消すねん、と反論しかけたけど飲み込んだ。というか「普通はこうである」と上司が演説をはじめるともう 口を挟む余地はない。

ただ、マスタを削除することはシステムの仕様上できなくて、あくまでも「使用中止」という状態に変更することになります、とだけ伝えたら、それも気に入らなかったらしく、それはシステムの仕様がおかしいと騒ぎはじめた。いや、ボクが作ったわけじゃないし、そんなやたら興奮気味に詰められても知らんがな。おかしいのはシステムの仕様じゃなくてあんただよ、と思ったけど、そんなことはもちろん言わない。

なんで落ち着いて話せないんだろう。

たぶん、こんなことを他部署に出向いていってもやってるんだろう。なんとかしてくれと言われても、ボクだってどうしていいかわからずに思い悩んでいるし、会社を辞めたくなるぐらい思いつめたり、たまに眠れない夜を過ごしたりもしてる。

とにかく会話が成立しないんだから、あきらめるしかないんだよ。いろいろ間違ってるけど、大局的にはまちがったことを言ってるわけじゃないから、受け入れるしかないんだよ。

しかし、なんで急に興奮しはじめて人の話をまったく聞かなくなったり、当事者の事情を確認することなく、ものごとを強引に進めようとしたりするんだろうなぁ。前の会社でもそれでやってきて部長にまで上りつめたという実績があるからかな。

ちゃんと会話して皆で合意しながら、段階踏んでやっていけたらいいのにな。しかし、そんなことを言ってるから、ボクはいつまで経ってもこのポジションに居続けてるんだろう。会社で認められるには、受け入れ難いけど部長のやり方が正しいんだろうな。

いやー、そんなに周りに敵ばっかりつくって仕事したくないなぁ。出世なんかしなくていいから、穏やかに生きていたいよ。

他人を平気で振り回す迷惑な人たち (SB新書)

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