自分の中に眠っていた少年の心を、ゆでたまご 嶋田先生とキン肉マンに呼び覚まされてしまった。

ライフハックの集い「cotola(ことら」でお世話になってるノリハナさんから「こーさんはキン肉マン世代ですか?」とか急にTwitterで聞かれて、ちょっと戸惑った。ボクははっきりいって直撃世代でいわゆるキン消しを気持ち悪いぐらい集めてた子供だった。コミックスはボロボロになるぐらい読み込んでいたし、毎日のように模写してキン肉マンだけでらくがき帳を何冊も消費するぐらいだった。キン肉バスターとか描くのめっちゃむずかしかったんだよなー。

別に隠す必要もないので「ボクはキン肉マン世代ですよ」と素直に返してみる。すると、なら100年会館でキン肉マンの原作者であるゆでたまご 嶋田先生の講演会が開催されるので、いっしょに行きませんか?というお誘いを受けた。

どうしよう?

たしかにボクは子供のころ、キン肉マンしか見てない時期があった。しかしその後、友情、努力、勝利を素直に信じることができないやさぐれた大人になってしまい、昨日の敵は今日の友どころか、今日の友は明日の敵とか思ってしまうようになってしまい、キン肉マンから遠ざかってしまった。

キン肉マンの連載がWEBで再開したのを知ってしばらくは懐かしく追いかけていたけれど、最近は読めてない。そんなうっすいキン肉マン愛をぶらさげて行ったら、場違いなんじゃないか?きっとわざわざ原作者の講演会に足を運ぶような人たちは、「寝ても覚めてもキン肉マン」な人たちに違いない。

まぁいいや。嶋田さんが何を語るのか興味あるし、それだけで行ってもいいよね。けっきょく、そんな感じでボクはさくっと行ってみることに決めた。

嶋田先生が語られたことをまとめてみる。

やりたい、じゃなくやる!と言ってしまえ!

できればやりたい、なんていう思いでは夢は叶わない。やると決めて周りに対して宣言してしまう。そうやって自分を追い込めば夢を叶えるエネルギーがわいてくるはずだ、と嶋田先生は熱く語られていた。

こういう言葉ってもうある程度、自分の限界を思い知ってしまっているおっさんのボクにはなかなか響いてこない。子供のころにやりたいと思い描いたことをずっとライフワークとして生涯やり続けていける人ってのは、ほんの一握りじゃないかなぁ。そうやって追い込んだらつぶれてしまうヘタレだよ、ボクは。うむ。なかなかいい感じにやさぐれているな!

自分がおもしろいと思うモノをかけ!

今はとにかく人の声を気にしすぎて、体裁よくかこうとしてしまう人が多すぎる。そんなもの僕は全然気にしない。自分がおもしろいと思うものを描くだけだ!と嶋田先生は吠えていた。

ついついウケがよさそうなものを書こうとしてしまいがちだし、こういうふうに書いたら炎上しちゃうかも?とできるだけ無難な表現を選んでブログを書いているボクにはなかなか耳の痛い話だった。まぁ、自分がおもしろいと思うモノしか書いてないつもりではいるけどね。全然トレンドとか追ってないし。

1つでいいから武器を持て!

漫画の神様と言われた手塚治虫先生から嶋田先生は「3つの武器を持ちなさい」との指導を受けたらしい。でも、嶋田先生としては、キン肉マン以外にも幽霊漫画やロボット漫画を書いてみたりもしたけれど、いまひとつだったという経験を踏まえて「格闘漫画に特化しよう。1つの武器を持てばいい」という考えに至ったとか。今は漫画の数もかなり多くなったし、1人の漫画家がいろんなジャンルの漫画を書こうとする必要はない。知らないことを知ったかぶりして描くんじゃなく、誰にも負けないと言えるモノを描くべきだ、という持論を展開された。

ボクは漫画家じゃないし、漫画家を目指してもいない。でも、この言葉はちょっと胸に迫るモノがあって、ブログを書くうえでも、誰にも負けない1つの武器を持つのは大事なんじゃないだろうか、とか考えてしまった。自己満足でいいから、このテーマなら誰より面白く書いてやる!みたいなのを1つでいいから持ちたいなー。

ボクの質問が採用された!

その後、嶋田先生への質問コーナーがはじまった。いきなり読み上げられた質問は、なんと!ボクが書いたモノだった。「漫画家をやめたいと思ったことはありますか?」というネガティブ要素を含んだ内容だ。あまりにも嶋田先生の話がポジティブな内容に終始していたから、ボクとしてはネガティブな話も聴いてみたくなったのだ。

ラーメンを食べようとしてひっくり返して火傷したとき、もしかしたら漫画を書けなくなるかもしれないと思ったことはある。自らやめたいと思ったことは1度もないとのこと。ちょっとググってみたら、あったあったよ。これかー。

togetter.com

ラーメンで火傷とか聞くと「なあんだ」と思ってしまいそうになるけど、もしかしたら足を切断しなきゃいけないかも?という状況にまで陥っていて、とてもじゃないけど笑える話じゃない。ボクは今頃はじめて知ったけど、当時は大騒ぎになったんだろうなぁ。左足がなんとか無事で本当によかった。

この質問が採用されたおかげで、なんと!嶋田先生のサイン色紙がもらえるとのアナウンスがあって、もうめちゃめちゃテンションあがった!誰か同伴者がいたら思わず声を上げたんだろうけど、ボクを誘ったノリハナさんが急遽参加できなくなってたから、ぼっちで舞い上がるのは恥ずかしすぎて、なんとか抑えた。

嶋田先生との握手とサイン色紙に震えた。

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その後、嶋田先生が再登場されて、その場で「こーさんへ」と書いて下さり、握手をしてもらった。これがキン肉マンを生み出した手だ!と大げさじゃなく感激して震えてしまった。人間って感情が高ぶったら震えるんだよ。今なら、会いたくて会いたくて震える西野カナの言うことも信じられる気がする。

やさぐれた大人になってしまった、とか言ってたけど、ボクは一瞬にしてキン肉マンを夢中で読んでいた(純真無垢かどうかはあやしい)少年に戻ってしまった。こうなると、キン肉マンを読みたくてしょうがなくなってくる。帰り道に本屋に寄ると「キン肉マン 超人閻魔帳」という少しブランクのあるボクにはちょうどよさげな公式ファンブックが目に止まった。躊躇うことなくレジへ運ぶ。

さぁ、帰ったら奥さんにキン肉バスターをかけよう。そう誓いながら、ボクは家路を急いだ。嘘だけど。それにしても、色紙を大事に抱えながら、抑えきれずにちょっとニヤニヤしてたかもしれず、キモいおっさんに見えただろうなぁ。

とりあえず、コミックスを読みまくって早く連載に追いつかなくちゃ!

キン肉マン 公式ファンブック 超人閻魔帳 (ジャンプコミックス)

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