上司から「任せる」と言われたので、素直に自分で考える力を磨く努力をすると決めた。

見積書作成をめぐる攻防。

ふいに「ちょっと相談があるんですが」と某技術職の課長から声をかけられた。「先方と見積内容(技術関係の費用)について今までメールでやりとりして合意していたが、近々先方に会計監査が入ることになり、至急、きっちり見積書を発行してほしいと要請を受けたが、どうしたらいい?」ざっくり書くと相談内容はそんな感じだった。

「ボクは経理だし、見積書なんか発行したことないから知らねえよ」と言いそうになるのをのみこんで「見積書のフォーマットを営業からもらって作ればいいと思いますよ」と回答した。それで某技術職の課長は「わかりました」と去っていったものの、しばらくすると戻ってきて、今度はボクの上司に同じ相談を持ちかけた。「なんでやねん」と思いながら、2人のやりとりを聴いていると、上司は「こっちで作りますよ」とあっさり言い放ってしまった。

そして、当然ながら「頼むわ」と見積書作成ワークはボクに回ってきた。とりあえず、営業から見積書のフォーマットを貰い、適当に形を整え、そそくさと上司に提出した。「なんでボクがわけもわからず見積書を作らなきゃいけない?」と思ってるから、全然気持ちが入っておらず、上司にいろいろペン入れされた末、見積書は完成した。

続けざまな質問に弱すぎて切ない。

そんなことがあった翌日、上司から「ちょっと話しがある」と声をかけられ、もう1人のリーダー職の社員と共にボクは別室に向かった。「今後、リーダーに仕事を委任せざるを得ない状況になるので、今まで以上に広い視野を持って、全体最適を意識しながら仕事に臨んでほしい」上司はボクらにそんなことを言った。あまりにも抽象的で話が見えないんだけど、なんで「委任せざるを得ない状況」になるのか、具体的なことはまだ言えないらしい。

おそらく、まだ言えないのは組織改編に絡むことだからだろう。上司が何らかの業務をかけ持ちすることになるから、仕事をリーダーであるボクらに委任する、そんなところじゃないだろうか。いや、まぁ、わからないけど。

そこでボクは昨日のやりとりを思い出した。明らかにボクと上司の対応が違っていたわかりやすい一例だったからだ。昨日は不満だったけど、先方からの至急の要請に応えるためには、まったくわかってない人に見積書作成を丸投げすべきじゃなかったなとボクは反省していた。そんなに難しい作業でもないし、膨大な時間を要するわけでもなかったし。そんな反省の思いを口にすると、唐突に上司から「どうなるのが理想の姿だ?」と問われた。

一瞬答えに詰まる。「先方の要請に迅速に答えるために、経理で見積書を作成するというのがベストだったと思っています」とちょっとうろたえながら答えたけど、ボクの答えはどうにもズレていたらしい。続けて「質はどうだ?」と上司の問いは続く。質問の意図がよくわからないし、続けざまに無機質に問われることにボクはどうしても弱い。尋問されてるような心境になって、ふにゃふにゃ言っていると「あの程度のことは、本来各人がこなせるようになるのが理想の姿だ」と上司は答えを出した。いや、そりゃそうだろう。なんでもかんでも経理でやるわけにいかないし。それより「質はどうだ?」の質問の意図は?そう問い返す間もなく、上司の話が続いて打合せは終了した。

ボクを試そうとわざと唐突に質問を投げかけているんだろうけど、どうにもかみあってないよなぁ。まぁ、ボクはすぐに尋問されてるような心境に陥ってしまうメンタルの弱さをなんとかしなきゃいけないんだけど。

自分で考える力を磨きたい。

なんにせよ、わざわざ別室に呼んで話をされたのに今までと同じ気構えで仕事を続けるわけにはいかない。気構えだけの問題じゃなく、実も伴うようにしていかなくちゃ。とはいえ、やる気だけで何かを変えられるわけがないので、さっそく本屋に寄ってこんな本を買ってきた。

トヨタの自分で考える力

トヨタの自分で考える力

本を読んだって、すぐに何かを変えられるわけじゃないけどね。今まで「トヨタの」とタイトルに付いた本はなんとなく買ったことがなかったんだけど、さっと目を通してみると、ストーリー仕立てになってて理解しやすい雰囲気が気に入った。さてさて、いくつの気づきを得て、具体的な行動におとしていけるだろうか。