【さよならソルシエ】女子向けだからと避けて通るのはもったいない!

日頃少女マンガは全然読まないんだけれど、何気なく手にとった「このマンガがすごい!2014」という本をパラパラとめくってみたら、オンナ編で1位を獲得していた「さよならソルシエ」というマンガが妙に気になってしまった。

さっそくレンタルして新年早々読んでみたんだけど、いやーコレは面白い!ボクみたいに少女マンガの棚なんて素通りですが何か?という男子にこそ、ぜひ読んでみてほしい。というわけでネタバレしない程度にさよならソルシエについて語ってみる。

どんなマンガなのかと思ったら、今まで自分があまり読んだことのない…というかはじめて?という画商の話だった。はっきりいってテーマ自体には、まったく興味が湧かない。芸術なんてよくわからないし、画家なんてピカソとゴッホ、それからレオナルド・ダ・ヴィンチぐらいしか知らない。そんなボクにこのマンガは面白いと思えるだろうか?いや、最後まで読めるのかも怪しいな。

そんなことを考えながら読みはじめたけれど、一気に読まされたうえ、途中で涙腺がやられて泣きそうになってしまった。
……毎日を ただ生きて 生きて生きて 精一杯生き抜いて 死んでいく人を僕は惨めだとは思わない…立派な人生だ
僕はそういうものを描きたいんだ(さよならソルシエ 1)

涙を堪えたのは、フィンセントが言ったこの言葉。ボクは自分が特に人より秀でたモノがあるわけじゃない平凡な人間だと自覚している。だから、マジメにコツコツやるしかないというか、結果がどうであれ、向上心だけは失わずに日々過ごしていこう、と思っている。だけど、そんな自分の生き方を疑問視してしまうことも少なくない。そんな自分の心の深いトコロにこの言葉は響いた。


本音を言うと、もう少し時間をかけて人を丁寧に描いてほしかったなぁという気がする。この作者の穂積さんはそれができる人だと思うから、展開を急ぎすぎてるのがホントに惜しい。2巻では急速に人の感情が交錯しすぎていて、感情移入する間もなく終わってしまったような気がした。


あと、これは個人的趣味の話だけど、巨大権力に立ち向かう抵抗勢力を描くストーリーがスキなので、もう少し長くテオドルスのクールで痛快な立ち振る舞いを見ていたかったなぁ。そうすることで、その後の展開の意外性がより高まると思うし。

世界はね きっといつだって ー 信じることからはじまるんだ(さよならソルシエ 2)

うん。大丈夫だ。まだボクはこんな綺麗事にしか聞こえないような言葉で感動することができるらしい。たまになんでも悟ったような気になって、冷めた目でものごとを見る自分に嫌気がさすことがあるけれど、マンガで心を揺さぶられてるぐらいだから、全然枯れちゃいないなぁ。


このマンガは賛否両論あるだろうけど、2巻で完結というお手軽さなので何を読むか迷ったときには、ぜひ手にとってみて下さい。特にボクと同じように、少女マンガなんて眼中にない男子に偏見を捨てて読んでみてほしいなぁ。