不安になりすぎず、楽観視しすぎない、ほどよい危機感を持つのって難しい。

いってきます!と言って、いつものように家を出る。奥さんに抱かれてる息子は、いつものように全然ボクを見ようとしない。まぁ、いいやと思いながらドアを閉めて階段を降りる。アパートのゴミ捨て場にゴミを捨てた瞬間、突風が吹いたようにガサガサと大きな音がしたと思ったら、地面が揺れた。なにこれ、気持ち悪い・・・って地震じゃないか!

外に出て不安げに立ち尽くしてる同じアパートの人たちを横目に階段を急いでかけ上った。家に居る2人は大丈夫だろうか?

幸いなことに家の中には何も被害がなく、モノが落ちたり倒れたりということもなかったみたい。テレビとかまっさきに倒れそうだけど、なんともなかった。唯一、ドレッサーの鏡付きの扉だけが、地震のはずみで開いたらしい。

奥さんはとっさに息子に覆いかぶさったらしいけど、息子は特に動じることもなく、当然何が起こったのかもわからずに、平然としていた。さっきと同じく、やっぱりボクを見ようとはしない。心配して走ってきたんだから、ちょっとぐらいこっち見ろってば。

またしばらくしたら、大きな揺れがくるかもしれない。出社しようかどうしようかちょっと迷ったけど、ボクは会社へ向かうことにした。ラジオからはやはり地震情報が延々と流れてくる。電車は動いてないらしい。出社しても、ほとんど人はいないかも?

少し定刻から遅れて会社に着いた。予想に反してほとんどの人たちが席について普通に仕事をしていた。そうか。この事務所の人たちは出社が早いから、地震の前にもう会社に着いてる人が多いんだな。あと、車通勤の人も多いから関係なく出社できるのか。

いつも2時間かけて通勤している上司は、当然のごとく席にはいなかった。後から知ったんだけど、どうやら電車内で4時間も缶詰状態になっていたらしい。他には、途中で降ろされて1時間半も歩いて出社した人もいたみたい。いやー、ボクだったら出社をあきらめてどっかで電車が動くのを待つだろうな・・・。

不幸すぎる偶然が重なって命を落とした人もいる。負傷した人もたくさんいるだろう。それなのに、助かってしまうと・・・というか、何事もなかったから、危機感を持つのが難しい。心のどこかで「まぁ、大丈夫だろう」と思ってる自分がいる。過剰に恐れて不安にまみれて過ごすのもよくない。でも、楽観視しすぎるのもよくない。ほどよい危機感を持つのって難しいなぁ。

しかし、一応こんなボクでも今や一家の主。「難しいなぁ」とか呑気なことばかり言ってちゃダメだろう。きちんと備えておかなくちゃ。

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