心貧しく人を見下してないで、思考プロセスを楽しみたい。

自分の中にある見下しに気づく。

ボクは今自分と同じ年頃の派遣社員の女性といっしょに仕事をしている。最近はとても人の入れ替わりが激しくて、2年ぐらいの間に3人も人が去って行き、彼女は4人目のパートナーということになる。 なぜ、そんなに人の定着率が悪いのか?というのも思考したいけれど、今回は別に考えたいことがあるからスルーする。今1番気になるのは「人に考えてもらうにはどうすればいいか?」だ。

そのまえにこのテーマを落ち着いて考えようとしたら、自分の中にあるイヤな思考に気付かされてしまったので、自白しておくことにする。あんまり向き合いたくないことだけど、そういう人のキレイじゃない部分こそ、読んでいて面白いと自分が感じるからには、人に提供しないわけにはいくまい。

ボクの中に彼女に対する明確な見下しを感じてしまった。「自分と同じ年頃」なんだから、これぐらいできて当然だろう、という感じ。もっと言えば今までどうやって仕事をこなしてきたんだろう?という見下し疑問も湧いてきた。

何をえらそうに!自分はそんなにちゃんと仕事できてんの?自分と同じ年頃というかそれよりずっと下でも自分より会社に貢献してる人はたくさんいる。オマエがそんなこと言えるのか?・・・って、いててて。これは自虐すぎて痛い。痛すぎる。ちょっと話が逸れて戻って来れなくなりそうだから、自分の無能さを振り返るのはまた今度にしようよ、ともう一人の自分をなだめる。

自分のアタリマエは人にとってアタリマエじゃない。

「これは1ヶ月に一度、毎月発生する仕事なので、忘れないようによろしくお願いしますね」ひとしきり業務手順を伝えたうえで、最後にそう言ってボクは説明を締めくくった。

「これは絶対忘れそう。どうしたらいいでしょうねぇ〜」と派遣の彼女。言いにくいのでとりあえずAさんと呼ぶことにする。

絶対忘れそうだと思うなら、工夫すりゃいいだろ。というか、誰だってすべての仕事を覚えておくことなんかできないから、カレンダーに書いたり、チェックリストを作っておいたりして忘れないための工夫をしてるはず。だいたい、説明してる相手に平気で「忘れそう」とか言うもんじゃないよ、とボクは瞬間的にいらついてしまった。 おちつけおちつけ。

実際にAさんは先月やってもらった仕事のいくつかを忘れていて、実行するタイミングも細かな手順も繰り返し説明しなきゃいけない状況に陥っている。そりゃ、ボクの説明がうまくない部分もあるだろう。それにしても、忘れてることが多すぎる。説明してるとき、あんなにメモをとってたじゃないか。口を開けば、絶対言いすぎてしまうから、溢れそうな言葉を飲み込んだ。

あぁ、残業続きで気持ちの余裕がなくなってるなぁと感じる。この調子では、いつまで経っても仕事を任せることができずに追われる日々が続いていくと焦ってる。倦怠感や腰痛がひどくなってきて、身体的にもきつくなってきてるんだよなぁ。

しかし、いらついてたら絶対ものごとはいい方向へ向かわない。相手の性質を解ったうえで自分がやれることを考えよう。自分のアタリマエは人にとってアタリマエじゃない。仕事を忘れないための具体的な工夫を伝えることもできるだろう。

lizune.hatenablog.com

私が仕事を増やしてるみたいなところあるもん。しょっちゅう質問するからその度に手を止めさせてしまうことにもなるし、ああ、ここにいるのが私でなければみんなもっと円滑に仕事ができるのに……って。(りずろぐ。)

コレを読んで思ったんだけど、Aさんも似たような葛藤を抱えていて、自分なりに努力してるけどうまくいかないのかもしれない。ボクはというと、余裕がないのをいいわけにして十分に努力してるとは言えないし、ちゃんと人と向き合ってないよなぁ。

全然関係ないけど、「りずろぐ。」というブログタイトルは「いずれも。」と同じひらがな4文字であるうえに、句点を付けているところまでいっしょで妙に親近感がわく。まぁ、本当に関係ないけど。

Dr.Hackのハカセに学んだこと。

Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)

Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)

そんな状況でこの本を読んでいる。

第一章は、電車に乗って傘を忘れないためにはどうすればいいか?という課題について、主人公とハカセがマジメに思考するというお話。よくこんなテーマでここまで話を展開できるもんだ。それでいてムダがなく思考プロセスが実におもしろい。

ハカセはいつもこうして僕の思考を促す。一直線に答えは与えずに、道が存在することだけを示すのだ。ハカセがそう聞いているということは、他に何かあるのだろう。僕は懸命に脳を絞り出す。(Dr.Hack 第一章 傘忘れの憂鬱 − メランコリー −)

読みながら、ボクはAさんに対してハカセのような立ちふるまいをすべきなんだろうなと思い至った。課題解決のために手とり足取りすべてを教えようとするんじゃなく、適切なヒントを与えつつ、答えを導きだしていくというか。

いやー、でもなー。ボクはハカセほど頭脳明晰じゃないし、この主人公ってかなり察しがいいほうだと思うんだよな。慌ただしい業務中にこんなにじっくり考えてる余裕はないし、現実にはこんなにうまく軽妙なやりとりを経て答えを導き出していくなんてことは、難しいだろう。

でも、人を見下して「え?電車に乗って傘を忘れない方法?そんなぐらい自分で考えろ」と言ってしまうと全然楽しくない。「毎月の仕事を忘れないためには、どうすればいいか?」という課題についてもそれは同じことじゃないか。幸い適切なリマインダーをセットするという傘忘れ防止と同じ対策がとれる内容だし、難しいかもしれないけど、Aさんに考えてもらえるよう、自分の立ち振る舞いを改めてみよう。そうしよう。

さぁ、Dr.Hack 第二章のページを開くとするか。