旅行先でズボンをなくして絶望した。

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朝目が覚めると、そこには見慣れない景色があった。あぁそうか、ここはホテルだと思い出す。B'z 稲葉浩志のライブで福井にやってきて昨晩はホテルで一泊したのだ。そのあたりの詳しいことは、またブログに書くつもり。横を見ると見知らぬ女が!とかだとブログのネタとしては面白いけど、残念ながら今まで生きてきてそんな経験をしたことはない。よく知ってるうちの奥さんが寝てるだけだ。

朝食バイキングの時間が決まってるから、あまりぼんやりしてる時間はない。あと1時間以内には朝食を済ませなければ。寝ぼけた頭で起きあがり、のろのろと着替え始める。シャツと下着と靴下は新しいモノを、セーターとズボンは昨日と同じモノを着用する。世の中のオシャレ男子事情はどうか知らないが、ボクなんか替えの下着と靴下と財布とスマホさえあれば「どこでも行ける。きっと行ける。赤から黄色、白から黒へ」(ねがい / B'zより)

そのとき、ボクは衝撃的且つ信じがたい事実に直面した。ズボンがないッ!あちこちひっくりかえす。ありえなさそうなところも覗きこむ。おちつけ。昨日の夜の行動を思い出すんだ。幸い大浴場に行って、そのままストレートに部屋に戻っただけでほとんど動いちゃいない。ライブで疲れきっていたし、酔ってたからそんなにウロウロできなかったもんな。

徐々にボクは自分がするりとズボンを脱いで、どのようにロッカーに入れたのかを鮮明に思い出してきた。なぜか入浴前に腕を大きく振り回して準備運動をしてた超肥満なおっさんのことも鮮明に思い出してきた。それにしても、自分で足の爪を切るのは絶対ムリそうなすごい腹の肉だった。いや、今はそれはどうでもいい。

奥さんが、忘れ物として保管されてるんじゃない?と言いつつ、取り急ぎフロントに問い合わせしてくれた。しかし、ズボンの忘れ物はないとのこと。そんなはずはない!ボクは確かにロッカーにズボンを置き忘れたまま、いい気分で部屋に戻ってきたんだ。女子のスカートならいざ知らず、財布も入ってないおっさんのズボンを盗んでどうする?納得がいかなくて、ボクは浴衣をせかせかと着こんで大浴場へと急いだ。鍵を借りてロッカーを開ける。そこにズボンはなく落胆する。おっさんのズボンを欲しがる特殊な性癖の人間も世の中にはいるのだと思い知る。

朝食バイキングの時間まで、あと30分ぐらい。こんなことのために朝食の権利を失ってしまうなんて。いや、それよりもズボンなしでは一歩も動けない。そんなとき、うちの奥さんが立ち上がった!もう一度フロントに問い合わせてみる!と走って出ていった。おお、女神よ!ボクは貴女と結婚して本当によかった。我が生涯に一片の悔いなし!いや、せめてズボンをちゃんと履いて安心して死にたい。

対面でフロントに問い合わせたからといって状況が変わるはずもなく、奥さんからは「やっぱりない」とか「買いに行くにも、まだ店が開いてない」とか絶望感が募るメッセージが送られてきた。その辺の人に「3万だすから、そのズボン売ってくれ!」とすがったら売ってくれるだろうか。いやいやそれなら越前ガニだって買えちゃうじゃないか。

そんなふうに絶望にうちひしがれていると、ドアをノックする音がした。奥さんが戻ってきたんだろう。とりあえず、いろいろ動いてくれたことには感謝しなくちゃな。と、ドアを開けるとすっと差し出されたのは、見まちがうはずもないボクの安っぽいズボンだった。奥さんは得意気に笑ってる。

どうやら、フロントの人が大浴場に見に行ってみたら、忘れ物として置いてあったらしい。ただ、忘れ物リストに書き込んで保管するというルールが守られていなかったため、大浴場の係員は昨晩にはそのような忘れ物はなかったと判断していたようだ。

昨晩の大浴場の係員に謝罪させるとか、再発予防策はどうするんだとか、そんなことはもうどうでもよかった。ズボンがないことがあんなにツラいことだとは今まで知らずに生きてきた。今は黙ってズボンがある幸せを噛み締めて立ち去ろう。

あ、もちろん、朝食バイキングはおいしく頂いた。パンにするかごはんにするかめっちゃ悩んだし、ついついたくさんとりすぎてしまうんだよなー。ところで、ズボンって死語ですか?